秘密の世界
突然目の前にいる敵が一斉に座り込み、拳を地面について頭を下げる。


「王妃、ご無礼をお許しください。まさか、本当に王妃が先にここにいるとは思わなかったもので・・・。」


さっき王妃のことを「あいつら」よばわりしていた肌黒い男がいった。どうやら、この男がこの中でのリーダーのようだ。
さっきとはうってかわって言葉の使い方を変えている。


「王妃が無事で何より、お怪我は?・・・。」


いくら経ってもなんの反応もないことを不審に思い、男は顔をあげた。


見ると、王妃は泣き崩れていた。


「王妃・・・!?」


すぐさま男が王妃に駆け寄る。それに続き、ほかの者も駆け寄った。


「大丈夫ですか!?」


「ええ、平気です。ぐずっ私、あなたたちのこと敵だとずっと思っていて・・・。その服を見て、ひっく、私の城の警備隊の制服だと気づいて、ぐすっ・・・。きっ気が、抜けただけ、なので。ひっ、うぅ・・・。」


「おかあちゃま。泣かないで。」


側で王女が心配そうに母の頭をなでる。それを見て、警備隊の女が笑顔で言った。


「王妃はすごく気を張っていらしゃったようです。無理もありません。突然の襲撃だったのですから。けれど、私たちがきたので、もう安心ですよ。王女、私たちともっと安全なところへ行きましょう。」


「あんじぇんなところ?」


「そう、人間界です。」


王妃は、はっと顔をあげる。


「人間界って、王は?ひっく・・・。」


「王はここに残り、まだ残っている多くの民を、お守りになられるおつもりです。」
















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