秘密の世界
「王女、夜は晩餐会になります。さっき、翼を生やしたばかりでお疲れでしょうから、この部屋でゆっくりしていてください。」

「ありがとう。」

莉奈はさっき民衆へのお披露目が終わり、化粧などを落とし、メイドに自分(もとは母の部屋だった場所)の部屋に案内してもらっていた。
メイドが何かあったら呼んでください。と扉を閉めるまで莉奈は笑顔でいた。しかし、メイドが扉を閉めたとたん、莉奈はベットに行き倒れ込む。


(背中が痛い。お母様もこんな思いしたのかな?)


さっきより、痛みが増している背中を手で押さえた。すると、手に変な感触があった。思わず、手を引っ込めて思いつく。これは、自分の翼だと。つい先日まで人間だと思っていた莉奈には、やっぱりすぐには慣れない。

(これって空とべるのかな・・・?)

そんなことを考えていると、トントンと扉を叩く音がした。すぐベットから飛び起き、はいと返事をすると、入ってきたのはレイヤだった。

「大丈夫ですか?なんだか、顔色が悪そうだったので・・・。」

「大丈夫。なんでもないよ。」

とっさに笑みを作り、莉奈は平気な顔をする。

「それより、あのとき私になんて言ったの?私歓声で聞こえなくて。」

「・・・かわいいなっていったんだよ。」
照れているのか、レイヤの声が少し低くなる、顔を背けているため、表情がよく見えない。莉奈は

「ありがとう、レイヤ。私少し疲れたから休むね。」

といい、またベットに入ろうと思った莉奈の手をレイヤがとめる。さっきまでけっこう遠くにいたのに、一瞬にして莉奈のところまで来た。
それに莉奈はびっくりした。しかも、レイヤの顔が近くにあったので、思わず下を向いたまま早口でしゃべる。

「えっレイヤって特技ないっていってなかったっけ?本当はあったんだね。言ってくれれば良かったのに。ねっそれって早く走れ・・・。」

すると、突然レイヤがしゃべっている莉奈に口づけをした。莉奈は何が起こったのか分からず、固まる。レイヤがしゃべり出す。

「お前、俺がお前のこと好きだったって知ってただろ?」







< 28 / 33 >

この作品をシェア

pagetop