秘密の世界
レイヤは莉奈の部屋の扉の側で、しゃがみ込み、項垂れていた。

(はやまった・・・。)

レイヤは思った。

(お披露目のとき、ガイが莉奈の頭を撫でていたことに、嫉妬したのがいけなかった。もう、家族じゃなくなったのに莉奈が安心した顔になってたから、いてもたってもいられなくて、つい本音が・・・ってこれいいわけだよな。)

レイヤはため息をつく。すると、1人の男がレイヤの元にやってきた。その男はスーツを着て、不気味な仮面で顔を覆っていた。

『君、失敗続きなんだってねぇー。・・・王女の殺害の。』

男が声を低くして聞いてくる。

「お前、誰だ!」

レイヤは問いた。

(ここで、俺の正体を知っているやつはいないはずだ!)

レイヤは思った。すると、仮面男がその問いに答える。

『僕ぅ?僕はね君のかわりに、王女を殺しに来た悪魔。』

「俺の、代わりに?・・・。」

『そっ。君が出来損ないだから、僕が代わりに来たの。魔王様は嘆いていたよぉ。自分の孫なのに、こんなに出来損ないだなんてって。君、もう必要ないから殺されちゃうんじゃな~い?』

「貴様!」

レイヤはその仮面男を睨み付ける。

『うわぁ、こわ~い。君、そんな顔してるから駄目なんだよ。』

その言葉にレイヤはカチンときて、拳を振り上げた。
しかし、仮面男は後ろへ飛びさすり、レイヤの拳は空を切る。

『おおっと、危ない危ない。お互い悪魔なんだから仲良くしましょっ♪まっ君は貴族だけどね。ああ、それとさっき王女が飲んだ薬に毒を入れておいた。僕は仕事が早いからね。あと数時間後には王女はあの世行き♪』

レイヤはすぐさまドアを開けようとした。が、仮面男が話を続けると、ドアから手を離した。

『君はもう天使のやつらに正体がバレてるよ。この薬の話をしたら、真っ先に君が疑われるだろうね。まぁ、その薬の解毒剤は僕が待ってるんだけどねっ。王女助けたかったら、僕のところまでおいで。じゃあ、バイバーイ♪』

「おいっ!待て!」

仮面男はレイヤに手を振り、すっと消えた。






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