俺様男子と同居中…!?
「葵…!」
人影はこっちに気づいて、あたしに向かって凄いスピードで走ってきて…
「…わっ!?」
あたしに抱きついた。
「え、ちょっ…純だよね?
どうしたの?」
やっぱり人影は純だった。
でもなんで純がこんなところに…
「お前なぁ!
”どうしたの?”じゃねえよ!
バカ!」
???
え、なんで純怒ってるの?
状況が全然掴めてない。
急に抱きついて来たと思えば、急に怒るし。
「こんな時間まで何してたんだよ!
何回メールも電話しても連絡つかねえし、いろんなとこ走り回って探してたんだぞ!?」
嘘…。
「ごめん、携帯充電切れてて…。」
「…ったく。
心配させんじゃねえよ。」
純はあたしをギュッと強く抱きしめた。
よく見ると、純の制服濡れてる。
汗かいてる。
雨の中、あたしのこと必死になって探してくれてた証拠だ。
「ごめんね、純。」
「本当だよ。
反省しろよ、マジで。」
「ふふっ…」
「何笑ってんだよ。」
純が怒ってるの分かってても、嬉しくて笑ってしまう。
あたしのこと必死になって探してくれたのが、たまらなく嬉しくて。
「ありがとね、心配してくれて。」
「はぁ…
葵、絶対反省してねぇだろ。」
してるよ。
でもそれ以上に、今は純のことが凄く愛しい。
「早く帰るぞ。
母さんも心配してた。」
「うん!」
純はあたしの手を優しく握った。
繋いだ純の手は、ひどく冷えきっていた。