Ryo×Ryo
「よ!お前が竹村りょうか!」
声の主は満面の笑みでそう言った
"文句なしの美形"
それがこの男に対する第一印象
髪の毛は金髪のツーブロックで
無造作にワックスで
整えられている
目はくっきりと二重で
鼻は高い
その端正な顔立ちは
ミケランジェロの
ダビデ像を彷彿とさせた
…あたしってば例えが古いな。
笑うと小振りな八重歯が
ちらっと覗いて
可愛かった
身長は180前後ってとこかな…
全体的に細身だけど
肘の辺りまでたくし上げた
ワイシャツの下から出ている腕は
程よい筋肉と血管が浮き出ている
ズボンは腰の辺りで
ワイシャツをインして
ベルトで止めていた
ベルトはこげ茶色の
ドルチェ&ガッバーナ
何の変哲もない普通のバッグルに
D&Gのロゴが
小さく彫られているだけ。
派手すぎず、
なかなか気が利いている。
ああ神様、
この男の美しさの雫を
ほんの少しでいいから
世の中のぶさいく共に
分け与えてやって下さい。
世のぶさいく共に祝福を…
アーメン。
なんて、ばかなことを考えながら
その男の容姿を
椅子の上であぐらをかき、
机に頬杖をつきながら
ぼおっと眺めていると
そいつが両手をポケットに
突っ込みながら
教室の机の間を縫って
こちらに歩いてきた。