Ryo×Ryo
「おい待てよ竹村りょう!」
涼の声とバタバタと走ってくる
スリッパの音を聞きながら
あたしは一度も振り向かず
屋上に向かって
階段を駆け上がった
バン!と勢い良くドアを開け
またバン!と勢い良く
ドアを閉めた
ぜぇぜぇ荒い息をつきながら
あたしはフェンスに歩み寄り
もたれかかって座り込んだ。
そしてスカートのポケットから
煙草の箱を取り出し
一本口にくわえて
細身のライターで火をつけ、
ニコチンを心ゆくまで
脳の中枢に染み渡らせると
さっきの男について
ひとしきり考えを巡らせた。
…あいつは何者だ?
あたしと友達に
なりたいだって!
一体全体何のために?