ブルーローズ ~私が死んだ理由~
 異様な書き込みを繰り返す私は、サイト内ではちょっとした有名人。「ブスでハゲで40代の彼氏がいる」とか、ふざけた事を書く偽者まで現れ、ファンはその両方が私の書き込みだと誤解。メルアドも悪用され、いやらしいメールが100通以上届いた事もあった。
 「嫌われ者は嫌われ者らしくしてろ。調子にのるな」
 「お前は、やって捨てられるだけの女だ」
 「引きこもりは出ていけ!!」
 どんな質の良い出会い系サイトでも、人が集まらなければ成り立たない。Lモードという特殊な機種で、登録出来るサイト自体が少なかったし、早く早くと焦るほど、ここに少しでも長く居座りたい気持ちがあった。でも、もう限界だ…

 他サイトに移り、反応はぐっと減った。“携帯専用”の文字に何度も悔しい思いをしながら、可能な所は手当たり次第に登録してみたが、どれも小規模なら届くメールの数も限られてくる。
 たまたま見つけた某オセロサイトは居心地が良く、その興味をそそる生い立ちや替え歌・顔文字を使った喫茶店風のやり取りで好かれたが、相手も同じ千葉だとどうしても期待してしまって、「コンドーム持って会いに行くから、しのはバイアグラ用意しといて」と、からかわれたりもした。
 そうして、やり逃げ話から端を発して、男達に好んでHな質問をされるようになっても、心のどこかで軽蔑しながら、それでも私は相手が自分に興味を持ってくれたのが嬉しくて、電話を希望する男にもこれを承諾。しかし、相手の目的はいわゆるテレホン・セックスで、私がそれを断ったらチャットに傍観者として現れ、『15人目』、『16人目』、『17人目』…と、ハンドルネームに1づつ加えて入室しては、無言のまま、やり逃げ人数をカウントして去って行った。
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