ブルーローズ ~私が死んだ理由~
 母は私が玄関でLモードをいじっていると、「それをやって金になるのか? タダじゃないんだよ」と、金の事ばかり言う。引きこもりでありながら自室にこもらずに済んだのは、それが玄関にあるおかげでもあった。ネットだけが外部との唯一の繋がり…希望とでも言おうか。金が理由でその希望をたたれるなら、絶食して食費を浮かせてでも続けたいと思った。
 玄関にいると、客から逃げ遅れる事もしばしば。客でなくても、金の事とか仕事の事とか言われるから、家族が来ても逃げるようになった。
 娘が男をたびたび家に泊めていた事など、母は知らない。夜遅く外出しても、相手が誰でどこへ行くのか、ネットでの事も何も知らない。だから、私にセフレ(セックス・フレンド)がいたなど、母は思いもしなかっただろう。
 そのセフレ、光と私が知り合ったのもまた出会い系サイトだった。けして好みでない顔立ちは、電話での第一印象とは対照的な振る舞いに、一瞬にして好意に変わる。
 彼氏候補として、いつものように抱かれた後、彼が言った。
 「また会ってくれますか?」
 2度目のデートを約束したという事は、交際決定!? …私は迷わず「はい」と答えた。
 が、帰宅後、メールで『友達希望』と判明。友達として会った2度目もHを求められ、問いただした結果が『セフレ希望』だった。
 捨てられる恐怖に脅えるより、捨てられる心配のない安定した関係…
 セフレなんて絶対に嫌だったのに、それを受け入れてしまったのは、孤独と彼に対する恋の錯覚が原因。電話での何となく嫌な印象と、実際に会った時のギャップ…やり逃げされてばかりの日々で、「また会いたい」と初めて言ってもらえた喜び…心理作戦。いつか、彼の中に私への恋心が芽生えればと、ただただ抱かれ続けた。
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