ブルーローズ ~私が死んだ理由~
 中退すると決めたのに、わざわざ定期券が切れるまで通い続けたのは、その事をしばらく母に隠すつもりでいたのと、例え「ムダ」と言われようが、少しでも多く知識を得る事で、高い学費を出してくれた家族への報いになればという思いがあった。
 母には夏休み、または夏休み明けに話す気でいたが、定期券が切れる1週間前、いつものように「学校辞めちゃいな!!」と怒鳴られた事で、その場で「辞めるよ」と返す。「死ね」が口癖の人は、相手が実際に死なないとわからないように、私の決意は本当の意味で母に伝わっただろうか?
 クラスメイトは、私が中退を口にすると急に態度を変えた。それまで放ったらかしだった人が急に話しかけてくるようになり、それはそれで嬉しかったが、出来る事ならもっと早く、こうなる前にしてほしかった。
 谷川は「迷いはあるか?」と聞いたが、「教科書をなくしたから、くれ」と言う生徒には、辞めた方が喜ばれるだろう。今はチヤホヤしてくれる生徒も、「やっぱり辞めない」と残れば、また元の放置に決まってる。
 決意が揺らぐ事はなかった。

 そして最終日の翌日、中退の手続きのため、母と共に学校へ…
 ここでも休学を勧められ、「すぐに提出する必要はない。じっくり考えるように」と、休学・退学2枚の紙を渡される。
 母は最後まで渋り、「特別補講の金なら払うから」と、仕事が見つかるまで、退学届けの提出を許してくれなかった。結局、半年たっても仕事は見つからず、学校からの催促で、3月、正式に退学届けを提出する。
< 60 / 128 >

この作品をシェア

pagetop