ブルーローズ ~私が死んだ理由~
 「個別で話がしたい」と告白を予感させるも、予め、石原に「森君に話しかけられても、嫌なら無視していいからね」と言われていたように、皆も2人きりにするのはマズイと警戒したらしく、その場は大人達に救われた。
 温子からの手紙によれば、彼は自分が尊敬する『THE ALFEE』の高見沢に似た美少年と思い込んでいるとかで、物事を良い方に良い方に都合よく考えては、結果、つらい現実に直面すると大暴れするらしい。アニメ好きで、ギター片手に60・70年代のフォークソングを口ずさむ彼は、同じ長髪でも、顔・体型・技術共に高見沢氏には程遠い。
 ただ、彼もイジメ・不登校経験者で、愛に飢えた私達は互いを理解出来るはず。それが困難なのは、彼が私を女として見ているという事。ドラマで見たベッドシーンに「僕は今、性欲を隠してるんです」、「やっと僕にも春が来た」と発言するくらいだから、年齢的にも頭は“性”の事でいっぱいと思われ、プラス思考の彼は、もうそう時点で私と100%恋人になれると確信している可能性があった。
 とはいえ、ここで話す分には私も彼を拒絶する理由はなかったし、ただ単に目の前の公園が気になって遊んでいたら、その間、中は大変な事になっていたらしい。皆は私が森君が嫌で逃げたと思ったらしく、心配して見に来た佐藤らと戻ると、
 「こんな所で活動していても、学校は何も変わりませんよ! 何でいつも思い通りにいかないんだ!!」
 森君は明らかにイラついてる様子で、その後も「家に帰りたい」だの「救急車を呼べ」だの大騒ぎ。誤解をといた所で、かえって彼を期待させて傷付けるだけだし、それなら、このまま逃げた事にして、私があそこへ行かなければ彼を刺激する事もない…と、翌週は欠席。
 温子によれば、皆は前々から森君が私に告白するのではないか、それによって私が嫌な思いをするのではと心配していたらしく、ハッキリ断った事に驚きつつも、内心、安心したとの事だった。そして彼は以前、そこに来ていた中学生を「来るな!」と追い出した事があるそうで、今度の事もあり、皆は森君を追い出す計画を立てているようだった。
 欠席した理由を話すと、祖母は人事のように森君との交際を勧め、私はそんな祖母に「だったら、自分の目で確認してみなよ」と、翌週、一緒に行く事になる。
< 68 / 128 >

この作品をシェア

pagetop