イケメン5人のお姫様

無愛想くんの事情




龍瀬くんに手を引かれ、連れて来られたのは、屋上だった。

屋上って入っちゃ行けないんじゃないっけ?
まぁ、いっか!


「名前は?」

「へ…!?」

「名前。何て言うの。」


…え?
いや…知らないのか…。
そういえば、言ってない気もするけど…
ここ何日か一緒にいるんだから、覚えてくれたって…
……いいよね!?


「桜井桃香です…」

「もも。」

「ももか、です。」

「もも…桃食べたい。」

「ももかです…」

「何回言うの。」


いやいやいや…!
何回言わせるの。


「ももはなんで、あそこにいたの」

「え…あ、えっと…」

「まぁ、いいや。」


この時初めて、龍瀬くんに助けてもらったことを思い出した。


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