season and sweet?
夏とアイスキャンデー、又の名を「デート」
振り返って彼を呼ぶ。
「あれ食べたい。」って可愛らしく言うの。そうすれば何でも許してくれる。甘い声と涙は女の常套手段。
そんな彼も数分後にはちゃっかり右手にアイスを持ってるんだから。青色が鮮やかなソーダ味。私のはオレンジ味。互いに互いのアイスを味見して、「美味しいね」って笑いあう。
こんな図は私たちだけじゃない。周りを見渡せば、皆そうしてる。カップルだらけの広場、彼らは空いたパラソルの下で強い日差しを避けながら物を食べてる。
ポタ、と溶け出したアイスが地面に染みを作る。服の上じゃなくて良かったって安堵。
舐めてたら早くは食べられないから、シャクシャクと音を立てて食べる。冷たさが歯に染みて、一気に涼しさが増す。
隣を見たら彼は既に食べ終わってて、私をにこやかな表情で見ていた。
「何?」と聞けば、「何でもない」と答えるのだけれど。

「次はどこへ行こうか。」お店が建ち並ぶ場所。今はちょっとお腹いっぱいだから、私も彼も大好きなインテリアを見に行こう。その旨を伝えればまた受け入れてくれるの。
「良いね、行こう。」すい、と差し出された右手に、私の小さな左手を重ねてぎゅっと捕まえる。人混みが凄いから迷子にならないためね。
オシャレなラグやカップ、カーテン、ピローケース。
「色々あって欲しくなっちゃうね。」
「本当だね。」二人のお揃いのマグカップでも買って使おうよ。うん。どれにしようか。
二人でお揃いの何か買うなんてこっぱずかしいけど、それもまた楽しいものだね。私は彼の楽しそうな横顔を盗み見て、少しだけ目尻を下げた。
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