I've seen you!
その涙とセリフを最後に、三浦悠真はまた口を閉ざした。



あたしたちが見下ろしている学校の坂の下、大通りを行き交う車の騒音が、にわかにその音量を増した気がした。



切れ切れに浮かぶわた雲の間を縫うように、渡り鳥が群れを成して空を泳ぐ。



弱々しい風がまた吹いて、三浦悠真の長めの黒髪をさわさわと動かした。



三浦悠真の口元は、優しく微笑んだまま。泣き顔よりもずっと切なく、ずっと苦しく見えるのはなぜなんだろう。



「…何で、そんな話してくれたの?」



数分に渡る無言を破ったあたしをちらりと見て、三浦悠真は再び空に目線を戻した。



「キミにしか話せないから」



微笑んだままの横顔が、あたしに返答した。



距離感の問題、というやつだろうか。あたしくらいさして親しくもない人間が一番話しやすい、みたいな。



「あーぁ。プレゼントも無駄になっちゃったよ」



大きなため息をついて、三浦悠真は空に向かって背伸びをした。



「キミ、これ貰ってくれないかな」
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