I've seen you!
「─なんで」



なぜあたしなのか。昨日偶然会っただけの、はっきり言って赤の他人のあたしに、なぜ三浦悠真は“ミサト”への想いの詰まったはずの誕生日プレゼントを渡すんだろう。



「言ったじゃん」



寂しそうな笑顔を作って、三浦悠真はあたしに語りかけた。



「キミにしか話せないから」



そう言って風になびく長めの黒髪を右手でおさえる三浦悠真の表情は、晴れ晴れしくもあり、また、やっぱりどこか悲しそうでもあった。



「…ダメ、かな」



遠慮がちに、三浦悠真があたしの顔を覗き込んでくる。



「…分かった。そこまで言われちゃあ」



あたしがそう答えると、三浦悠真の笑顔の中の寂しさがふっと和らいで、薄れたように見えた。



「ありがとう」

「こちらこそ。ありがたくもらっとくね」



あたしは三浦悠真が“ミサト”にあげるはずだった誕生日プレゼントを、代わりに受け取った。



こんなこと、言っちゃなんだけど。



“ミサト”が、あたしのことを怒っていないか心配だ。



祟られやしないか、なんて思った自分は、いかに不謹慎で、心が荒んでいるのか容易にうかがい知れるだろう。



本当に、汚れた思考の持ち主だ、あたしは。
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