I've seen you!
午後の部活をサボって、あたしは再び学校の屋上へやって来ていた。



ちょっと今日は部活なんてやる気になれない。



ベストポジション的手すりに背中から寄りかかって、あたしは空を眺めていた。



足元のバッグには、まだ彼宛のプレゼントが入っている。



このプレゼントの存在が、この3日間の、三浦悠真の存在の証だ。



「プレゼントは、交換するものでしょ…?」



小さなわた雲がいくつも浮かぶ青空に向かって、あたしは悪態をついた。



世間が総じて浮き足立つ、大型連休の真っ只中で、なんでこんなにやるせない思いをしなくちゃならないんだろう。



そんな風には思うのだけど。



使命を果たしたような感覚もある。






とにかくもうしばらくは心を落ち着けて、コンビニでチョコレートでも買って帰ろうか、なんて思っていると、






あたしの目の前の扉がガチャリと開いて、



そこからひょっこりと顔を出したのは、



男子にしては長めの黒髪に、泉高の紺のブレザー。



申し訳なさそうな表情を顔に貼り付けた、三浦悠真だった。
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