I've seen you!
「4時間も遅刻した理由を、聞こうじゃないの」

「…ホントごめん」



頭を下げる彼の姿は、本当に普通の男の子だ。今朝のニュースこそ嘘なのではないか。自分の記憶を疑ってしまう。



「まぁ、しょうがない。ゴールデンウィークだし。水に流してあげる」



あたしはカバンからプレゼントを取り出して、三浦悠真にひょいっと放った。



両手でそれをキャッチした彼は、予想外にも複雑な顔をして、あたしの顔を見た。



「…なに?」





少し間が空いた。



「キミは、どこまで知ってるの」

「…たぶん、ほぼ全部」



「そう…か」



核心に迫りそうで迫らない会話を、あたしたちは続けた。





「“ミサト”ちゃんに渡してきてあげたよ、プレゼント」

「知ってる」



「…あっそう」



昨日と同じように、インターバルを挟んで、少しずつ。



「可愛い子だね」

「だろ?男バスのマネージャーやってるんだ」



今日までの3日間を、確かめ合うように。



「今日、部活サボったんだ」

「うわ、不良ー。きっとデートかなんかだと思われてるよ」



「この状況見られたら、確かにそう思われそう」

「…あははっ」



3回目の三浦悠真の笑い声。確かに3回目だ。



三浦悠真は今、存在している。



そう強く思った瞬間だった。
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