I've seen you!
「俺、さ、もう行かなきゃ」
しばらく会話を交わした後、三浦悠真がそう言った。
「…ロスタイムみたいなものなんだよね」
あたしは無言で彼の言葉に耳を澄ます。彼の声を忘れないように。
「おとといと昨日は、まだ自由だったんだけど」
確信を持ってしまうのはつらかったけれど、あたしは押し黙って話に集中した。
「…試合時間は今朝で終わっちゃったんだ。今はロスタイム」
春の暖かい風が、ちゃんと彼の姿を捉えてその長めの黒髪を揺らす。太陽が、しっかりと彼を照らして地面に彼の影を作る。
「時間がなかったから、朝はミサトを見に行ってた。そしたらキミもそこにいて」
泣くもんかと決めていた。胸がピアノ線で締め付けられるような激痛に耐えて、あたしは彼の顔を見つめた。
「嬉しかった。本当に。キミに会えて良かったって、キミと話せて良かったって、そう思ってる」
彼の目から、涙がぽろぽろと零れてくる。コンクリートの地面にぽたぽたと落ちて、確かに染みになっていくのに。
三浦悠真は、ロスタイムが終われば、いなかったことになるのだ。
それが悲しくてたまらない。
耐えきれずあたしの目からも涙が溢れた。
しばらく会話を交わした後、三浦悠真がそう言った。
「…ロスタイムみたいなものなんだよね」
あたしは無言で彼の言葉に耳を澄ます。彼の声を忘れないように。
「おとといと昨日は、まだ自由だったんだけど」
確信を持ってしまうのはつらかったけれど、あたしは押し黙って話に集中した。
「…試合時間は今朝で終わっちゃったんだ。今はロスタイム」
春の暖かい風が、ちゃんと彼の姿を捉えてその長めの黒髪を揺らす。太陽が、しっかりと彼を照らして地面に彼の影を作る。
「時間がなかったから、朝はミサトを見に行ってた。そしたらキミもそこにいて」
泣くもんかと決めていた。胸がピアノ線で締め付けられるような激痛に耐えて、あたしは彼の顔を見つめた。
「嬉しかった。本当に。キミに会えて良かったって、キミと話せて良かったって、そう思ってる」
彼の目から、涙がぽろぽろと零れてくる。コンクリートの地面にぽたぽたと落ちて、確かに染みになっていくのに。
三浦悠真は、ロスタイムが終われば、いなかったことになるのだ。
それが悲しくてたまらない。
耐えきれずあたしの目からも涙が溢れた。