未来への旅路。
第1章
特別な日
「んー…朝?」
カーテンの隙間から漏れている光がまぶしくて目が覚めた。
外では、蝉がせわしく鳴いている。
カーテンを開けて机の上に置いてある眼鏡をかける。
ふと、カレンダーが目に映る。
今日のところは黒いペンで塗りつぶしてある。
そう、今日は8月23日。
もう1年たったんだ。
だからあんな嫌な夢を見たのかもしれない。
あの日の記憶。
それは忘れたくても忘れられない大嫌いな記憶。
「あー、朝から最悪」
といってももう昼に近いが。
部屋を出てリビングへ行くとテーブルの上に1枚の紙と千円札が2枚があった。
メモを手に取って見てみる。
「……お昼、買ってこよ」
お出かけ、ねぇ。
今日はきっと、夜まで帰ってこないだろう。
でもまぁ、そっちの方が都合がいい。
今日は1人で静かに過ごしたかったから。
わたしは部屋に戻り、ジーパンとTシャツに着替え、財布と自転車の鍵を持って家を出た。