君とみらいへ
約束
長かった夏休みも終わって、9月最初の週の放課後。
奈緒と隆司は図書室に来ていた。
パラ…
パラ…
「――ねえ…隆司くん、それは嫌みですか?」
隆司は勉強をする奈緒の向かい側で本を読んでいた。
「何で…?」
相変わらず本から目をあげずに答える隆司にため息をつく。
「はあ…一応、私たち受験生なんですけど。」
‘受験’っていう言葉を出すだけで嫌になる。
だって私、勉強嫌いだし。出来ないし。
のんびりと顔をあげるから、何て答えるのかと思ったら・・
「本読む方が好きだから」
隆司はこれまたのんびりと余裕宣言をして、また本に視線を戻してしまった。