うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「…………にゃあ……?ほんとに大丈夫か……?」
いつまでもぼんやりしているあたしを心配した夜が、眉を寄せてあたしを見ていた。
「あ……!う、うん…!大丈夫!………なんか、夢………見てたみたい…………。」
あたしは慌ててうなずくと、また葉っぱだけの桜の木を見上げた。
「………?………ならいいけど。」
夜は不思議そうな顔をしてたけど、深くは追及してこなかった。
あれは……………桜があたしに見せた……夢…だったのかなぁ…………?
思い返せば……眠る直前、あたしといない時の夜が見てみたい……なんてことを思ってた気がする…………。
「…………俺も夢見てた。」
「…………!どんな……!?」
ポツリとつぶやいた夜の言葉に驚いて慌てて聞いた。
夜はそんなあたしに向かって、にっこり笑うと……………
「…………ナイショ。…………あんなイイ夢誰にも言わねぇ。」
………なんて言って、ニヤリと笑った。
「えぇ~~~っ!?夜ずるい!」
「…………じゃあにゃあのはどんな夢?」
「…………そっ、それは……………っ!い…言えない…………。」
「にゃあ、ずり~。」
「………!!」
ほんと……いったいなんだったんだろう……………???
でも………夢でも、優しい夜をいっぱい知れてすっごく嬉しかったな……………。
もし、あなたが見せてくれたなら…………
ありがとう…………桜さん。