うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
★Valentineday~ハジメテノ…~side夜
昔、ハルが言っていた。
《バレンタインデー》は、家に帰るまで地獄だと。
「「…………藤間く~~んっ!!!」」
「…………ん??」
別に地獄じゃねぇけど、
「「これ………!受け取ってください………っ!!」」
「…………。」
総勢何人いんだろー…?
ぴったり声を揃えて差し出された、綺麗に飾られた箱。
俺はそれをチラリと見て………
「いらねぇ。」
差し出された箱を断った。
「「…………!!!?」」
固まる女の子達を残して、俺はスタスタ歩き出す。
遠くなったさっきの場所から『ひどぉ~~い!』…なんて声が聞こえた。
だっていらねぇんだもん。
しょうがねぇじゃん?
俺、甘いモノ大キライ。
藤間夜兎。14歳。
地獄じゃねぇけど、《バレンタインデー》はめんどくさい。