うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「………??………あ!あの……これ……!!」
そう言って、スカートのポケットから取り出した…………
「……………アメ?」
手のひらに乗っかった…………いちご模様の小さな一粒。
彼女はにこっと笑うと…………
「バレンタインデーだから………っ。」
「…………!」
そう言って、恥ずかしそうに頬を赤く染めた…………。
「…………あ……」
そっか、ありがとーって………軽く礼言えばいいのに……………
俺はなんでか声も出せなくて。
ただ手のひらの小さなアメを見つめてた……………。
「……………ぁ…ちゃー…ん…………!」
「………!!………パパだ………!」
「………!」
ぼぉっとしてる間に…遠くで声がして、子猫の女の子はそれに反応して…パッと嬉しそうな笑顔になると駆け出した。
「………。」
それを惚けたみたいに見ていた。
「………!」
そしたらそれに気づいたのか……彼女はくるりと振り向くと、
「…………お兄ちゃん………!ありがとうーー!!」
「………!!」
笑顔で手を振る彼女に…………
無意識に、手の中のいちごアメを握りしめていた……………。