うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
ちっちゃくて真っ白な肌で、ふわふわの長い髪で…うるうるした大きな瞳の俺の彼女…《橘にあ》は
白くてふわふわした子猫にそっくりな女の子だ。
猫みたいに気まぐれじゃないけど………
名前だって猫っぽいし
ちょっとつつくと真っ赤になって、毛を逆立てて威嚇する子猫みたいな反応をして
恥ずかしがりやで、なのに時々甘えん坊で………
存在すべてで俺のことを虜にする…………そんな、女の子。
「………確かに子猫によく似てるな。」
「…………。」
ハルが診察台の子猫の頭を撫でながら、フ…と鋭い切れ長の瞳を和らげる。
息子の俺が言うのもなんだけど
奥さん(つまり母親)溺愛男のハルは、家族以外の他人に滅法冷たいヤツなのに………
にゃあにはまるで愛する娘(つまり姉ちゃん)に対するような態度をとる…………。
うさとしろうさに至っては、毎日のように『遊びに連れて来て!』と言われるしまつ………。
にゃあは初めてやって来たその日に、俺だけじゃなくて…俺の家族まで虜にしてしまったようだった。
「…………にゃあは俺のだぞー。」
「…………何を言ってるんだ………おまえは……………。」
ハルに呆れた顔をされたけど、家族にすらヤキモチを焼けるくらい
…………にゃあの虜。