うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「…………なんでこんなとこにいんの?」
いきなり現れたおれに、女の子は子猫を抱き締めたまま固まった。
ぎゅっと抱き締められたからか子猫が腕のなかでもがいていた。
「………!………ご、ごめんね……っ」
「ニャー……。」
それに気づいて力を緩めようで…解放された子猫がなんか文句言ってるみたいな声で鳴いて、面白かった。
「…………この子が降りられなくて泣いててね、
たすけてあげようと思ったら……おりられなくなった…………。」
「…………。」
………必死でのぼって、気がついたらあまりに高いところにいて怖くなった……そう言って
また怖くなったのかおっきな目にきらきら涙がたまった。
おれは………
泣いてるちっちゃい女の子が、なんか、かわいそうで…………
どうしたらいいかわかんなくて、
ぐっと顔を近づけて、
「………!」
急に近づかれて、びっくり目をまるくした女の子の………
…………宝石みたいなきらきら涙をなめてやった…………。
「…………泣いたら、め…とけるって言っただろ?」
「……………うん…。」
女の子はおっきな目をぱちぱちさせて、びっくりした顔で…おれのことを見てた。
その顔が可愛くて、思わず笑った。
そしたら………
「…………め、とけたらいやだな……。」
「………!」
そう言って、
可愛く……笑った。