うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
そこには、
あたしをひょいと抱き上げて………
にっこり笑う………………夜がいた。
「…………一か八かでうちの猫探しに来たんだけど、こんな暗くちゃいるわけねぇよな…………?」
「………!」
夜はそう言って苦笑した。
用事が終わって…あたしのこと………迎えに来てくれたんだ……………。
それが嬉しくて、あたしは夜の手にぎゅうっとしがみついた。
「ミィ……ミィ……ッ!!」
夜、夜、怖かった………!!
だけど…………あたしの口から出るのは高い子猫の鳴き声だった。
「………怖かったのかー?チビ猫、甘えんぼだなぁー…。………なんか、真っ白でチビでふわふわで………おまえ、俺のにゃあみたい………。」
「………!」
そんなあたしに夜はそう言うと………また優しく笑って、あたしの頭をそうっと撫でてくれた。
それからあたしを抱いたまま、スタスタと歩き出す。
「…………♪」
「…………ミャア?」
夜………?いったいどこに行くの………??