うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「失礼だよ…っ!」
何も知らない彼女は真っ赤な顔で可愛らしく怒って………
俺はますますそんな彼女を見れなくなった………。
「じゃあ、ゆっくりしていってね。」
気を取り直すようにそう言って笑顔で背を向け歩き出す。
「…………バイバイ。」
ポツリ…小さくつぶやいて、
その華奢な後ろ姿を見つめながら………
…………未練がましく思ってるんじゃないと心の中で吐き捨てた。
そして振り返らずに、
隣の夜の部屋をノックした。