うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「………しろうさに会ったのか?」
「………。」
部屋に入るなりストレート極まりない質問。
黒いソファに気だるげにもたれて…夜は悪びれる様子もなくさらりとそれを口にした。
「おまえまだ白羽が好きなの?」
「………っ!」
………だからっ、少しは遠慮しろよ………!
そう思うけど………子供みたいに清んだ夜の黒い瞳に見られると、なにもかも見透かされてるような気になった…………。
「……………わかんないよ。」
それがいちばん正直な気持ちだった。
とっくの昔に諦めた想いだ。
それは変わらない。
だけど、いざ会ってしまえば当然のように胸の奥がざわめいた。
「わかんないならやめろ。…………白羽は咲夜しか好きになんない。
………おまえがキツイ。」
「…………。」
これでも…………俺の想いを知る唯一の男は、それなりに心配してくれているようだった。
「…………わかってるよ。諦めてることに変わりはないんだからさ……。」
苦笑をもらしながら俺は夜の顔を見た。