うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「…………にあーー!もう…っ!?デカすぎなのよ!!この高校ーー!」
段々と近くなる清んだ声。
保健室の近くあたりかな?
辺りを見回しながら廊下を小走りで走った。
途中で女の子の集団に呼び止められたけど、急いでるから…笑顔で言って立ち止まりはしなかった。
俺の頭を支配するのは…ひたすら必死に《にあ》を連呼する声しか聞こえない女の子。
『にあ』…彼女はずっとそう呼んでる。
ペットの子猫でも探してんのかな……?
よっぽど…大切なのかな……?
彼女の声は、一度も休むことなく響いてきた。
変わらない必死さで。
何やってんだ……?………俺。
これで会ってガッカリとかもありえんのにさぁ…………。
何…………必死こいちゃってんの………?
自分に呆れ始めて…………足が止まる。
俯いて、ため息をついた時………………
「~~~!……にあーー!!」
「…………!!」
廊下の角から飛び込んで来たのは…………
真っ直ぐな黒髪の…………強い意思を秘めたような猫目が印象的な美人だった………。
俺は……君を探してたのか……………。