うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「…………あの……。」
じろりと俺が掴んだ腕を睨み付けて…彼女の声はあからさまに不機嫌だった。
「……………ごめん、ごめん。あっという間に行っちゃいそうだからさ。」
笑いながら言って、でもその細い腕を掴む手は離さなかった。
「…………それは行きますよ。友達を探してるんです。
………だから離してくれません?」
動揺する素振りも見せず………
迷惑そうな態度…………。
俺、これでも高校じゃあ結構有名なんですけど。
王子なんて言われちゃってるんですけど。
……………その、イヤなモノでも見るような視線は実に……………新鮮だ。
負け惜しみじゃありませんよ……………。
「……………俺は二年生だし、君よりは詳しいから………一緒に探してあげるよ。
…………俺もちょうど幼なじみを探してるとこなんだ。」
「…………!」
今思い出した《幼なじみ探し》も付け加えておいた。
警戒しまくりだしねぇ………。
もう少し………一緒にいさせてよ?
君はなんだか……………新鮮だから。