うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「…………今日も……真っ直ぐ帰るつもりだったんですが………」
「………?」
視線をグラスに移して自嘲的な笑みを浮かべ俺に向き直る。
「…………確か、先生にもお嬢さんがいました…よね?」
「…………えぇ、大学生の娘が。下に高校生の息子も。」
言って、また少し考える………。
…………子供のことの悩みか……?
「…………お嬢さん高校生くらいでしたか?
反抗期……とか?」
それに軽く首を振ってまた視線はグラスに移った。
「………それは、全く。妻に似て素直な子で…………。
……………………先日初めて、彼氏…連れてきまして……………。」
「…………っ。」
そう言って、わかりやすくずぅんと落ち込んだ。
正直、軽く、動揺……………。
気持ちは物凄く……………わかるぞ。
落ち込む肩に手でも置いてやりたくなった………………。