うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「…………なんと言うか………気持ちは…よく。
うちの娘が彼氏出来たのがそのくらいでしたよ…………。」
当時を思い出すとしょっぱい気持ちになるんだが……………。
「…………避けて通れないのがよくわかりました……………。」
「…………。」
い…居たたまれない……………。
「あー…でも、まぁ…相手が真面目ないい男なもので………。
ちなみに、どんな…………?」
この人の溺愛する娘が選んだのはどんなヤツなんだろうか……。
橘医師は多少考えるような顔をして
「…………ずいぶんと、その………イイ男だったと……。しっかり挨拶も出来て………。
……あぁ、藤間先生に似てるような気がしますね。」
「…………俺ですか?」
そんなことを言われて、視線を向けられたら………なんだか居心地が悪い……。
「………雰囲気なんかが………よく。
あぁ、黒い瞳のせいかな……?
すいません……そんな凝視もしていないので………どことなく…ですが。」
「…………はぁ……。」