うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~





「…………なんと言うか………気持ちは…よく。

うちの娘が彼氏出来たのがそのくらいでしたよ…………。」



当時を思い出すとしょっぱい気持ちになるんだが……………。



「…………避けて通れないのがよくわかりました……………。」



「…………。」



い…居たたまれない……………。



「あー…でも、まぁ…相手が真面目ないい男なもので………。

ちなみに、どんな…………?」



この人の溺愛する娘が選んだのはどんなヤツなんだろうか……。



橘医師は多少考えるような顔をして



「…………ずいぶんと、その………イイ男だったと……。しっかり挨拶も出来て………。

……あぁ、藤間先生に似てるような気がしますね。」



「…………俺ですか?」



そんなことを言われて、視線を向けられたら………なんだか居心地が悪い……。



「………雰囲気なんかが………よく。

あぁ、黒い瞳のせいかな……?

すいません……そんな凝視もしていないので………どことなく…ですが。」



「…………はぁ……。」










< 87 / 99 >

この作品をシェア

pagetop