うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
「…………すみません。変な愚痴を……。
先生さえ良ければ、また今度ゆっくりと。」
「…………もちろん。こちらこそ是非。」
橘医師は軽く頬を染めて、少し酔っているようだった。
見た目ほど、酒は強くないようだ。
それに見た目ほど……なんと言うか……娘を溺愛する穏やかな人という印象を受けた…………。
軽く会釈をすると別々に歩き出す。
歩いているうちに歩幅は自然と広くなり、足は早足になっていた…………。