死のスケッチブック
戻って来た魅弦の方を見た時、思わず涙がこぼれてしまった。

そしてその瞬間を、見られてしまった。

「あっ、気にしないでくれ」

そう言いながら手で頬を擦った。

「えっええ」

珍しく動揺しながら、部屋に入った。

「粗茶ですが」

「お茶うけは大福か」

「はい。お好きでした?」

「甘いもんは基本的に好きだ」

皿に付いてきた楊枝を使わず、真名は手掴みで大福を一口で食べた。

口の周りを粉まみれにしながら咀嚼し、飲み込む。

満足顔で粗茶をすすり、ため息をついた。

「美味いな、この大福。怪しげな商売は金回りが良いと言うが、本当らしいな」

「言うことはそれですか…。全くもって、あなたは女子高校生らしくないですね」
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