死のスケッチブック
「そうですね。しかしあなたよりも強い恨みの心を持つ者が現れれば、持ち主はそちらへ移ります」

「随分移り気な物だな」

「そういうふうに作られているんですよ。そして憎しみの念を吸い込み、その力を発揮するんです」

「しかし…」

真名は実花の手紙の内容を思い出した。

「持ち主だけの憎しみを吸い取るわけじゃないんだろう?」

「お察しの通り」

魅弦は何故か嬉しそうに頷いた。

「この物は描かれた人物の憎しみをも吸い込むんです。その念の形を、霊と呼ぶ人もいるみたいですけどね」

「それじゃあ…このスケッチブックの本当のあり方はこうか?」

真名は顔をしかめながら、頭を働かせた。
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