死のスケッチブック
「本来なら、企業秘密なんですけどねぇ。…まっ、良いでしょう」

魅弦はスケッチブックをテーブルに置いた。

「このスケッチブックの持ち主は、あなたの親友と同じだったんですよ」

「同じって…イジメを受けていたってことか?」

「はい。しかも同じく、絵のことでね」

魅弦はスケッチブックに手を置いた。

「そして恨み、憎い相手の死体を描いた後、自ら命を絶ちました。先程の女の子のようにね」

「っ!」

あの血の色と匂いを思い出し、思わず顔をしかめる。

「その時、手首を切ってお亡くなりになられたんですよ。その血がスケッチブックの絵にもかかり…」

「『死のスケッチブック』が出来上がったということか」

「はい、その通りです」
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