死のスケッチブック
父方の祖父が骨董好きで、幼い頃からこういう店によく連れてきてもらった。

だからか真名は、骨董に少々興味を持っていて、店を見て回るのが好きだった。

「…はじめての所だし、見てみたいな」

結局好奇心には勝てず、店の扉に手をかけた。

引き戸を開けると、

 ちりんちりーん
 
戸に付けられていた鈴の音が、店内に鳴り響いた。

決して不愉快ではないけれど、どこか耳が痛くなる。

「いらっしゃい。…おや、珍しい。女子高校生のお客さんですか」

中から出てきたのは、和服を着たおじいさん…ではなく、私服姿の美しい青年だった。

見た目からすると、成人は迎えているだろう。
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