死のスケッチブック
黒髪は少し長く、切れ長の黒い眼は力強い光を宿している。

普通の女子高校生ならば、一瞬にして恋に落ちそうなほど甘い笑みを浮かべている。

だが相手は真名。

青年が出す雰囲気に、得体の知れない不気味さを感じ取っていた。

それは下手をすれば、自身を危険にさらすほどの不気味さ。

その正体はきっとアレだろうと、真名は思い当たった。

「胡散臭い雰囲気」

「考えが口からもれていますよ?」

「ああ、失敬」

真名は肩を竦めて見せた。

「あなたはこの店の店主?」

「ええ。魅弦(みつる)と申します」

「女みたいな名前だな」

「この店の店主として、相応しい美しい名前でしょう?」
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