シアワセ色の空








何かの本に書いてあった。








“あまりに
 日常的になっている物事は


 変化や事件が起きて
 初めて意識するものだ”と
















はじめは
何とも思っていなかったんだ。







ただその道ですれちがうだけ。










毎日のことなのに





一年ちかく

顔も覚えていなかった。






















だけど。







ある春の日の帰り道。










キミは泣いていた。













いつもは

たくさんの友だちが
一緒だったのに




その日はひとりで。



下を向いて泣いていた。












思わず声をかけようとした。






話したこともないのに。


名前も

顔さえよく知らないのに。




















キミは


涙を隠そうともせず

静かに
僕の横をすれちがった。


















< 3 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop