道摩の娘
参
りいは弾かれたように後ろに転がった。
まだはっきりとしない視界の中、降り立った人影があった。
「あ…晴明っ…」
あまりにほっとして、思わず声に出た。
晴明がそこにいる。
それだけのことがこれほどに心強い。
「預かってて!」
その声とともに、りいの前に何かが降ってきた。
反射的に受け止めると、晴明の上衣であった。
(え…!?)
一体なぜ脱ぐのか。
混乱しながらもりいは単衣一枚で立っている晴明に目を向けた。
いつかと同じ、眺めだった。
晴明の髪が毛先から黄金に染まっていく。
光の加減でもなんでもなく、内側から輝くような黄金色だ。
りいは言葉も失い、ただ晴明の衣を抱えて見ているだけしかできない。
変化はそこで終わらなかった。
切れ長のまなじりが裂ける。
口の端も大きく裂ける。
晴明が気にしていた尖った耳は、ますます尖り、大きくなる。
身体の変化について行ききれなかった単衣が破れる。
恐ろしいほどの力が溢れ出す…
…かくして、すべてが終わったあと、
そこにいたのは、あの、黄金の妖狐だった。
まだはっきりとしない視界の中、降り立った人影があった。
「あ…晴明っ…」
あまりにほっとして、思わず声に出た。
晴明がそこにいる。
それだけのことがこれほどに心強い。
「預かってて!」
その声とともに、りいの前に何かが降ってきた。
反射的に受け止めると、晴明の上衣であった。
(え…!?)
一体なぜ脱ぐのか。
混乱しながらもりいは単衣一枚で立っている晴明に目を向けた。
いつかと同じ、眺めだった。
晴明の髪が毛先から黄金に染まっていく。
光の加減でもなんでもなく、内側から輝くような黄金色だ。
りいは言葉も失い、ただ晴明の衣を抱えて見ているだけしかできない。
変化はそこで終わらなかった。
切れ長のまなじりが裂ける。
口の端も大きく裂ける。
晴明が気にしていた尖った耳は、ますます尖り、大きくなる。
身体の変化について行ききれなかった単衣が破れる。
恐ろしいほどの力が溢れ出す…
…かくして、すべてが終わったあと、
そこにいたのは、あの、黄金の妖狐だった。