道摩の娘
天一貴人
壱
りいの話を聞くうちに、保憲の顔が強張ってきた。
「なんだと…!藤原様の姫君が…!?」
聡い彼はすぐにことの重大さを理解したようである。
青ざめた保憲とは対称的に、晴明の表情は飄々としたものだ。
特になんの反応も示すことなく話を聞いている。
「…晴明、お前…」
保憲が眉をひそめた。
それを見て、晴明は慌てて首を振る。
「違いますって。さすがにこんな深刻な事態にまで怠けようとか思いませんよ」
にこり、と艶やかな笑みを浮かべる晴明。
話している内容も忘れる笑みだ。だがその表情のままで驚くべきことを言う。
「ただ…知ってましたから」
「え…?」
声をあげたのはりいである。
超子の口振りからして、詮子と晴明は面識がないはずだが…
それに、知っていたならなぜそんな大切なことを黙っていたのか。
「…お前、どうしてそれを?」
りいは首をかしげた。
「うん、まあ色々情報がね」
晴明は適当にはぐらかし、続ける。
「でも…あの子には危険はないよ」
その、あまりに自信たっぷりな声を、りいは訝しむ。
「だから…なぜ、そう言えるんだ」
保憲も黙って頷いていた。
「えっと…」
その問いに、晴明が珍しく困り顔をしたとき。
「…わたしから説明しよう」
突然、部屋の隅から聞き慣れぬ声がした。
「なんだと…!藤原様の姫君が…!?」
聡い彼はすぐにことの重大さを理解したようである。
青ざめた保憲とは対称的に、晴明の表情は飄々としたものだ。
特になんの反応も示すことなく話を聞いている。
「…晴明、お前…」
保憲が眉をひそめた。
それを見て、晴明は慌てて首を振る。
「違いますって。さすがにこんな深刻な事態にまで怠けようとか思いませんよ」
にこり、と艶やかな笑みを浮かべる晴明。
話している内容も忘れる笑みだ。だがその表情のままで驚くべきことを言う。
「ただ…知ってましたから」
「え…?」
声をあげたのはりいである。
超子の口振りからして、詮子と晴明は面識がないはずだが…
それに、知っていたならなぜそんな大切なことを黙っていたのか。
「…お前、どうしてそれを?」
りいは首をかしげた。
「うん、まあ色々情報がね」
晴明は適当にはぐらかし、続ける。
「でも…あの子には危険はないよ」
その、あまりに自信たっぷりな声を、りいは訝しむ。
「だから…なぜ、そう言えるんだ」
保憲も黙って頷いていた。
「えっと…」
その問いに、晴明が珍しく困り顔をしたとき。
「…わたしから説明しよう」
突然、部屋の隅から聞き慣れぬ声がした。