リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
「いいから迎えに来るから、待ってろ!」

「うっうん…。分かった」

あまりの剣幕に、わたしは頷いた。

「…じゃな。弁当、美味かった」

「明日も楽しみにしててね」

にっこり笑いながら言うと、彼も少し笑って頷いた。

彼の後姿が見えなくなるぐらいになってから、わたしは家の中に入った。

「さて、と…」

まずはシャワーを浴びて、体を綺麗にしよう。

その後は野球部の練習メニューを考えて、明日のお弁当の中身も考えなくちゃ。

…あっ、買い物、行かなきゃ。

やることは多かった。

体はスッゴク疲れていたけれど、何故か心は浮きだっていた。

練習メニューを考えている間も、お弁当のメニューを考えている間にも、彼のことが頭に浮かんだ。

けれど彼がわたしに望んでいるのはマネージャーとしての役目。

それ以上は…いや、やめておこう。

今考えることじゃない。

わたしは自らマネージャーになることを決めたんだ。

その役目を果たさないまま、彼への気持ちを強くしても意味がない。

とにかく、野球部を立て直すことが先決!
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