リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
部長は悪い人ではないけれど、ちょっと気が弱くて、情けないところがある。

そんな甘い部分を、打ち砕かなければ野球部は立ち直れない!

部長は渾身の球を投げてきた。

だけどわたしはマネージャーになってからというもの、バッティングセンターに通うようになっていた。

それは練習メニューを考える為、バッターの気持ちを味わう為だった。

だから今の部長の球は、ゆっくり見える。

バッティングセンターの的に何度も当てて、景品をゲットしたわたしの目には、弱小野球部の球なんて軽いものだった。

なので思いっきり、

カッキーン!

と、ホームランを打った。

部長は白い顔で膝から崩れ落ちた。

部員達は口をあんぐり開いたけれど、わたしはピースして見せた。

次に副部長が勝負を申し出てきた。

副部長はバッターなので、わたしはキャッチャーをする。

きっとそれならわたしに勝てるだろうと思ったんだろうケド…わたし、実はソフトボールのキャッチャーの経験があった。

野球とはちょっと違うけどそれでも良いならと言ったら、副部長は満足そうに頷いた。

なのでわたしは、全身全霊で一球投げた。

ズバンッ!

…副部長は、バットを振ることすらできなかった。
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