リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
テストも第一試合も無事に終わり、少し部活は休みになった。

それでも次の試合の為に予定を考えていると、彼が家に来た。

「どっどうしたの?」

休日に、何の予定もないのに彼が来ることなんて今まで一度もなかった。

なので変に慌ててしまう。

「ちょっと付き合えよ」

「いいけど…どこに?」

「学校」

「忘れ物でもしたの?」

連想することをそのまま口に出して言ったら、彼はがっくり項垂れた。

「お前は学校と言うと、忘れ物しか思い浮かばないのかよ?」

「えっと…何となく?」

テヘッ☆と笑って誤魔化してみる。

別に彼が忘れ物が多いとかではない。

他に思い浮かべることがないのだ。

「…はあ。まっ、とりあえず後ろに乗れよ」

「うん…。あっ、お弁当いる? お握りぐらいなら作れるけど」

時間はもうお昼時だった。

「ああ、食べる」

「じゃあ待ってて。すぐに作ってくるから」

わたしは家の中に戻った。

ご飯は今朝炊いたばかり。具材もお握りに入れるぐらいなら何とかなる。

考えてみると、彼にお弁当を作るのはかなり久し振りになる。

部員の為なら何度もある。

けど彼個人に作ることはこれで三回目ぐらいだった。
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