リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
「昨日のうちに言ってくれれば、ちゃんとしたの作ってあげられたのになぁ」

そう思いながらも、お握りを作り始めた。

彼とわたしの分を作り、冷蔵庫に入っていた緑茶の缶を二本、バッグに入れて家を出た。

「お待たせ!」

「ああ、行くか」

何かちょっとデートみたいで嬉しい。

大会で活躍したこともあって、彼は女子生徒から人気急上昇した。

告白してくる子も…何人かいたけれど、彼は断っていた。

そんなシーンを見るたび、胸が痛むのを必死に隠してきた。

だけどもし、彼が告白を受け入れるような女の子が現れたら…わたしはマネージャーを続けていられるかな?

…いや、続けなきゃダメだ。

彼がわたしに望んだことは、マネージャーになることなんだから…。

彼の腰に回した腕に、力を込める。

彼の好きになる女の子はどんなコだろう?

少なくとも、わたしみたいに男の子と張り合うぐらい運動神経はよくないだろうな。

そう思うと、自然と自虐的な笑みが浮かんだ。

わたしの体は陽に焼けて、健康そうに見える。

でも擦り傷、切り傷、痣など、男の子みたいに体には多くあった。

髪もボサボサ気味で…女の子らしさなんてあんまり感じられないだろうな。
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