リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
「オレはお前にずっと側にいてほしかった。だからマネージャーに誘った。何にも言わなくても、お前だってオレの気持ちは分かっていただろう?」

「…自惚れないでよ」

「自惚れてないさ。だって両想いだろう? オレ達」

…その言葉には、反論できなかった。

「オレ、お前には運動神経、敵わなかったからさ。だから認めてくんないのかと思った。だから練習した。お前にも隠れて、一生懸命」

そうじゃなきゃ、わたしの球を打てないだろう。

「でも今は違うだろう? だから…認めろよ」

「…何を?」

「オレがお前のことが好きで、お前もオレのことが好きだってことだ」

「………」

認めるのは、怖かった。

一歩を踏み出してしまったら、何かが終わって始まる予感がしていたから。

そしたらもう二度と、彼とは仲が良かった頃には戻れないんじゃないかって思ってたから…。

でも今、その一歩を彼の方から歩んで来てくれた。

なら、わたしは…。

顔を上げて、背伸びをした。そして首に手を回し、彼の唇にキスをした。

―こうして気持ちを現すしかない。

こういう方法しか、思い浮かばなかった。

彼の手が、肩から背中に回る。
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