リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
密着した体から伝わる、お互いの鼓動。

どっちも同じぐらい、強く高鳴っている。

「ふっ…」

唇が離れた後も、強く抱き締め合ったままだった。

優しく頭を撫でられ、わたしは彼に全てを預ける。

「もっと…オレを頼れよ」

「えっ?」

「そりゃ顧問や部長達みたいにはいかないけど、それでもお前の力になりたいからさ」

「…うん」

「お前が弱っている時とか、側にいることぐらいはできるし」

「うん」

「あ~っ! でもやっぱりいつも側にいろよ!」

「うんっ!」

ぎゅっと抱き締めた後、わたしは顔を上げた。

「じゃあ、お決まりだけど。わたしを甲子園に連れてってね」

「ホントにお決まりだな」

彼は苦笑するけど、困ってはいない。

口には出さないけれど、やっぱり夢を持っている。

「でもって、最後はやっぱりホームランでしょう!」

「それは…ちょっと難しいかもな」

「大丈夫よ!」

わたしは彼の両手をぎゅっと握った。

「ちゃんとわたしが鍛えてあげるから♪」

「えっ!?」

「副部長よりも優秀なバッターにしてあげるから、頑張ってね!」

「あっああ…」

彼の笑みが固まった気がするけど、ムシムシ。

わたしの頭の中には、彼を鍛えるメニューが浮かび始めていた。
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