リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
「あっ、なあ、明日も弁当作ってきてくれよ」

「いいけど…。明日はそんなに時間かからないわよ?」

下手すれば午前中に全てが終わる。

「けどコンビニ弁当なんて味気ないし。それなら手作り弁当の方がいい。お前の作る料理、美味いし♪」

子供のように無邪気に笑う彼を見て、思わずわたしまで笑顔になる。

「ふふっ、ありがとう。おかずにリクエストある?」

「ハンバーグ!」

…味覚まで子供だったのね。

それから楽しそうにお弁当の中身を語る彼を見ながら、胸が高鳴るのを感じた。

でも今は野球のことが先!

マネージャーとして誘われたんだから、ちゃんと役目は果たさなきゃいけない。

お弁当を食べ終えた後は、すぐに部室に戻った。

掃除と洗濯は半端なく疲れた。

ぐったりしながら空を見上げると、すでに茜色に染まっている。

「終わったー!」

それとほぼ同時に、彼の草むしりや終わったらしい。

「おい、終わったぞ!」

彼は土だらけになりながら、草入りの袋を掲げて見せた。

「ご苦労様。こっちも区切りをつけたから、帰ろうか」

「だな」

わたしは埃まみれで、彼は土だらけ。

帰る前に顔ぐらいは拭いた方が良いだろう。

わたしは乾いた洗濯物の中からタオルを二枚持って、水で濡らして彼に差し出した。

「帰る前に、顔とか手拭いた方が良いよ」
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