リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
「えっ? そんなにヒドイ?」

「うん、かなり。ドロ遊びをした子供みたいな格好になっているから。部室に鏡あるから、見ながら拭いたら?」

「分かった。タオル、サンキュ!」

彼はタオルを受け取ると、部室に走って行った。

走る彼の後姿はカッコ良いなぁ。

そんなことを思いながら、タオルを顔に当てた。

「つめたっ!」

ぼんやりした頭に、冷たいタオルは効いた。

顔や首、手や腕を拭くとある程度はすっきりした。

でも何か汗臭い気がする…。

「お待たせー。どうだ?」

彼が戻って来たけど、まだちょっと…。

「ん~。ちょっと動かないでね」

「あっああ」

首や顎の、彼には見えにくい部分にはまだ土が付いていた。

わたしは自分のタオルを使って、その部分を拭いていく。

「つめてっ!」

「我慢して。土だらけのまま、家に帰ったら何事かと思われるわよ」

彼の場合、遊んで土だらけになったんだろうと思われることは間違いない。

「う~。まだか?」

「んっ。ちょっと首下げて」

「ああ」

彼が首を下げると、うなじの部分が見える。

わたしは少し背伸びをして、彼の首に腕を回した。

ここが何だか汚れがヒドイなぁ。きっと汗が流れて、それを土が付いた軍手で拭いたりしたんだろう。
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