リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・5(野球)
「ん~。けっこう汚れているわね」

ちゃんと見ようとするたび、背伸びしなきゃいけないのが少し苦しい。

「なっなあ、もういいから」

「何言ってんの。こんなに汚れているのに」

「でっでも、この体勢は…」

「体勢?」

そこでハッと気付いた。

背伸びをして、彼の首に腕を巻いている。

…抱きついている体勢だ。

しかも今のわたしは汗臭かった!

「ごっゴメン!」

わたしは慌てて後ろに飛びずさった。

みっ密着しすぎた!

「いっイヤ、その、ありがとな」

「うっうん…。じゃあわたし、荷物取ってくるから。先に帰ってて」

「ああ」

お互い、顔が真っ赤で気まずい。

荷物は部室に置いていたけれど、部室の鍵は職員室にいる顧問に返さなきゃならない。

荷物を持つと、そこで彼とは別れた。

職員室に行くと、マネージャーモードになる。

顧問に鍵を返す時に、練習メニューのことについて申し出てみた。

軽くOKされたので、ちょっとビックリしたけれど、やっぱり部員のことは心配された。

反対されるだろうことは分かっていたから、打開策があることを告げた。

わたしの自信ありげな姿を見て、とりあえずは頑張れと言ってくれた。

明日も来ることを告げて、わたしは職員室を出た。
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