秘密
◇◇◇


昼休み。
私はいつも図書室のカウンターの奥の資料室で美樹ちゃんとお弁当を食べている。

ホントは図書室での飲食は禁止なんだけど、1年の頃から私達はこの落ち着く空間が心地よくて、資料室なんて滅多に人が来る事はないから、密かに利用していた。

美樹ちゃんとのお喋りは楽しくて、お互い本好きなので話しも合う。

「それじゃ、かなちゃん1週間一人なの?」

「うん」

「…一人で大丈夫?」

「大丈夫だよ?食事も洗濯も一人分だし、かえって楽かも?」

「そう言う事じゃなくて、佑樹君…」

「……うん。大丈夫、昨日も来るよう言われたけど、断ったから…」

「…そっか」

「あ、美樹ちゃん昨日ありがと…」

「何が?」

「……佐野君の事…」

「ああ、あれね?余計な事したかな?」

「ううん、嬉しかった…」

昨日の出来事を思い出してしまって、顔が熱くなる。

嫌じゃ無かった、むしろ気持ちよかっ…

……私ったら…
何考えてるんだろ…

手を団扇にしてパタパタと顔を扇ぐ。

「かなちゃん土曜日泊まりに行ってもいい?一緒にDVD見ようよ」

「うん。いいよ…でも日曜は私、朝早くから出掛けるんだ」

「もしかして、佐野君と?」

「……うん、だから美樹ちゃんにまたお願いしようと思ってたんだけど…」

「わかった。任せといて」

「…ありがとう美樹ちゃん」

「いいって、それじゃ泊まりに来るの金曜日にするよ、どうせなら土曜日、あたしんちに泊まるって佑樹君に言って、佐野君んちに泊まりに行っちゃえ、かなちゃん」

「えぇっ!?」

「好きなんでしょ?佐野君の事…」

「……うん」

「だったらいいじゃん、そんで出来るなら…佑樹君とは…」

「…でもそれは…」

「わかってる…お父さん…だよね?」

「…うん」

「…ホントにどうしたらいいんだろうね…何とかしてあげたいんだけど…いい考えが浮かばないや…ごめんね?役にたたなくて…」

「そんな事ないよ、話せる友達が居るだけでも、気持ちが軽くなる…佐野君との事…いけない事なのに…わかってくれて…」

「…人を想う気持ちは…自由だから…」

そう言って美樹ちゃんは笑った。

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